ニュースが示す転換点

2026年9月初旬、日本経済新聞はサイバーエージェントGEOラボの最新調査を報じた。注目数字は、AI Modeを含む生成AIの検索利用率が52.3%に達したという点である。2025年5月の21.3%から約1年3か月で31.0ポイント伸び、初めて50%を突破した。

ただし、ここで問うべきは「AI利用者が増えた」という事実そのものではない。検索エンジン利用率は依然として86.9%であり、置き換えではなく併存が現状である。重要なのは、顧客が商品やサービスを比較し、候補を絞り、推薦を受けるプロセスの一部が、検索結果一覧から生成AI側へ移り始めていることだ。

生成AIは「第二の検索プラットフォーム」へ

全国15〜69歳9,278人を対象としたサイバーエージェントGEOラボの調査(2026年8月期、マクロミル実施)では、AI Modeを含む生成AIの検索利用率が52.3%に達した。同調査は、検索エンジン利用率を86.9%(2025年5月91.9%)と併記しており、生成AIを検索エンジンに次ぐ「第二の検索プラットフォーム」と位置づけている。

世代別では10代80.6%、20代61.0%、40代50.2%、50代46.1%、60代39.6%と、40代でも初めて50%を突破した。サービス別ではChatGPT 30.6%、AI Mode 28.4%、Gemini 23.2%が検索利用の中心である。入口が一つではなく、複数のAIが並行して比較・検討の前段に入りつつある。

比較・検討フェーズで利用が進む

調査が示すのは、生成AIが「質問に答える道具」から「候補を比較する場」へ広がっていることである。比較・検討フェーズでの利用例として、候補商品の価格比較15.5%、旅行の宿泊施設比較14.8%、物件条件比較14.5%が挙げられている。

検索エンジンと生成AIの双方を利用するユーザーに限れば、46.6%が「検索行動の半分以上を生成AIに切り替えた」と回答している(2025年5月30.1%)。この46.6%は検索全体の割合ではなく、両方を使う層の中の比率である。それでも、比較行為の委任が進んでいることは明確だ。

58.7%が示す「検索」から「購買」への接続

同調査では、AIのおすすめをきっかけに商品・サービスを購入・利用した経験があると答えた割合が58.7%に達した。検索順位やクリック数だけでは捉えきれない領域——推薦から行動へ——がすでに一定規模で発生している。

従来のSEOが最適化してきたのは、検索結果に載り、サイトへ流入させる段階である。AIが比較と推薦を担う場面では、サイトに来る前に候補入り・脱落が起きる。見えている流入が維持されていても、意思決定の本体が別レイヤーで進行している可能性がある。

企業側の観測ギャップ

この構造変化の下で、次のようなギャップが生じる。

Googleでは上位表示されているが、AIが自社を正しく理解していない。比較候補に入るが、根拠不足で推薦されない。推薦は受けたが、予約・問い合わせ・購入の導線が途切れている。

いずれも「検索結果に出るか」だけでは測れない。AIが参照する情報の整合性、比較に必要な属性の構造化、実行可能なエンドポイントの存在——観測対象を拡張する必要がある。

SEOをやめる話ではない

検索エンジン利用率86.9%は、SEOが無意味になったことを意味しない。正しい対応は、SEOに加えてAI側の発見・理解・推薦への備え——Agent Readiness——を並行して整えることである。

SEOとAI検索をゼロサムで対立させる必要はない。検索と生成AIは併存し、比較・検討の一部がAIへ移る。両方のチャネルで、企業がどう認識され、どう選ばれ、どう行動に接続されるかを見る必要がある。

企業が今確認すべき3点

Agent Readinessの三柱——Visibility、Authority、Actionability——に沿って、次の3点から確認できる。

Visibility:代表質問へのAI回答で、自社が候補として言及されるか。検索順位だけでなく、AIの参照セットに入っているかを見る。

Authority:競合比較時に、公式情報・第三者情報・レビューが整合し、根拠として引用できるか。名称・所在地・提供条件の一貫性が問われる。

Actionability:推薦後に、比較に必要な情報が揃い、予約・問い合わせ・購入へ接続できるか。実行導線の途切れがないか。

結論——意思決定レイヤーを測る時代へ

「検索の第二プラットフォーム」が生まれたことで、企業が測るべきものは検索順位から、機械媒介の意思決定プロセスへ広がった。問いは「検索結果に出るか」から「AIの比較・推薦プロセスに入れるか」へ移っている。

52.3%という数字は、調査対象の範囲で生成AIが検索手段として定着しつつある合図である。同時に、比較・検討・購買の各段階で、AIがどう企業を評価しているか——その観測が経営課題になる。

出典:株式会社サイバーエージェント GEOラボ「生成AIのユーザー利用実態調査(2026年8月期)」(調査期間:2026年8月7日〜10日、対象:全国15〜69歳男女 n=9,278、調査機関:株式会社マクロミル) 報道:日本経済新聞(2026年9月)

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